白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「おい、恋!
桃がかわいそうだろ。
無理やり着せるのやめろよな!」
「だってさ……」
龍兄の言葉を聞いて
ちょっとひるんだ恋兄。
ちょろいぜ、龍兄。
いつもはそっけなく接している分
たまに甘えたように見つめるだけで
龍兄を操れちゃう。
龍兄の助けもあって
とりあえずロリータ服を着なくても
よくなったことに安心していたのに
今度はその龍兄が
モジモジし始めた。
「桃、ロリータより
くの一の方が良いよな?」
「へ?」
「俺さ
今日忍者の衣装で店に立ってやるからさ
桃はお揃いで
赤い忍者服着てくんない?」
龍兄とお揃いで、忍者服?
ま、ロリータよりましか……
と思っていると……
今度は虎兄までもが
白い服を私に見せてきた。
「お前なら多分
こっちのほうが似合うから」
恥ずかしそうにぼそっと言われ
手渡された白い服を広げてみる。
これって、ナース服じゃん!
しかも、スカートの裾
短すぎだし!
白衣の天使なんて
私のキャラじゃないし!
そんなとき
恋兄がキッチンに向かって声を発した。
「え……と。 誰?」
そうだった。
十環先輩が私の朝ごはんの用意を
してくれていたんだった。
「こいつは、十環。
俺が入っていたTODOMEKIの仲間。
桃の高校の先輩でもあるけどな」
「お邪魔しています」
「じゃあ
十環っちに決めてもらえばいいじゃん。
桃がどの服を着るかさ」
恋兄!
意外にナイスなこと思いつくじゃん!
十環先輩は
この変人3兄弟と違ってまともなはず。
明らかに嫌がっている私に
フリフリピンクのロリータや
ナース服なんて着させるわけがない。
わたしはちょっと心に余裕ができて
少し微笑みながら
十環先輩の方を見つめていた。
「俺は……
これかな」
!!!!!!!
それ?
それは一番ないから!!!!!
十環先輩の指がさしていたのは
恋兄が作った
ピンクのロリータ服だった。