白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「え? 十環先輩?
 その卵焼き、甘いですよ?」


「……おいしい」


「え?」


「俺さ……
 結愛さんに付き合ってって
 言われたけど……
 断ったから」


 へ~。

 結愛さんに告白されて
 断っ……


 ん? 

 断った??


「え? 何でですか?

 だって
 別れてからも、ずっと大好きで。

 結愛さんと公園で再会した時だって
 愛おしそうに
 抱きしめていたじゃないですか?」


「あれは、誘拐されそうだったから。
 結愛さんのことを助けられて
 良かったって安心して。

 それに、あの時はまだ
 俺も結愛さんが好きだって
 思っていたけど……。

 あの後、結愛さんと久々に話した時に
 はっきりとわかった。

 俺が好きなのは
 結愛さんじゃなくて……桃ちゃんだって」


「へ?」


 今……
 なんて言った?


 十環先輩が好きなのは
 わ……わ……私?


 そんなはずない! 

 
 笑顔が優しくて、凛としていて
 かわいさと綺麗を兼ね備えていて。


 あんな男が守ってあげたくなる
 結愛さんより、
 私が勝っているところなんて何もない。

 
 一つあるとしたら
 私の方がケンカに強いくらい。


 そんな男らしいところ
 マイナス要素でしかないし。

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