白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
なぜ、ここに?
次の日。朝5時。
今日も眠たい目をこすりながら
思い切ってベッドから降りた。
ジャージに着替え
ボサボサな髪にささっと櫛を通して
一つ縛りに。
そして
だらだらと階段を下りると
相変わらず朝は特に機嫌が悪い虎兄が
目を吊り上げて待っていた。
「桃、早くしろよ。おいてくぞ」
「待ってよ、今、靴を履くから」
今日の朝練は
虎兄と10キロのランニング。
玄関に座り靴紐を結んでいると
私にの頭上に
なぜか穏やかな声が降ってきた。
「桃、良かったじゃん」
「え?」
「十環がお前を選んでくれてさ」
さっきまで鬼みたいに
私に怒鳴りつけていたのに。
虎兄のいきなりの変わりように
びっくりして声が出ない。