白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「ま、十環ならさ
 お前よりケンカも強いし。
 妹の彼氏と認めてやってもいいけど」


「ありがとう……って
 何それ?
 認めてやっても良いって
 なんで上から目線なの?

 そんなんだから
 虎兄には彼女なんてできないんだよ」


「いるし」


「へ?」


「だから……彼女くらい……いるし」


 なんですと!!

 こんな不愛想な虎兄に
 彼女がいるなんて!!


 そりゃ
 お店のお客さんにも
 虎兄ファンはたくさんいるよ。


 顔もまあまあカッコいいと思うよ。


 だけど、こんな上から目線で
 いっつも私に文句ばっかりいう男と
 付き合える子なんているわけ?


「どんな子?」


「桃になんて教えないし」


「連れてきてよ、今度家に」


「絶対に嫌だし。

 だって連れて来たらさ
 龍兄も恋兄も桃も
 うざいくらい清香(きよか)に
 しゃべりかけてくるだろ?

 恋兄なんて
 ロリータ服を着せようとするだろうし」


「清香さんって言うんだ~」


「もう、この話は終わりだからな。
 行くぞ、走りに」


 玄関から外に出たとたん
 虎兄が目を吊り上げて私を睨んだ。

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