白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
彼女のことで突っ込んだから
怒っているのかな?
また何か
怒鳴られるかなと思っていると
予想外の言葉が虎兄から出てきた。
「俺はさ、もうすぐこの朝練を
しなくてもよくなるけどさ。
桃が高校を卒業するまで
朝練に付き合ってやる」
「え?」
「お前、一人じゃ嫌だろ?」
フフフ。
笑いが抑えられなかった。
だって虎兄。
そんな優しい言葉
睨んで言うことじゃないからね。
「なんだよ! 笑いやがって。
嫌ならいいけど」
「嫌じゃないよ。
虎兄と一緒に
これからも朝練できるって思ったら
嬉しかっただけ」
「思ってないだろ、そんなこと」
「思ってるよ。
虎兄、意外に優しいんだね」
「は?
そんなキモイこと、口に出すなよな。
ほら、行くぞ」
「うん」
虎兄も意外に優しいところが
あるんだなと見直しながら
私は、虎兄の背中を追いかけるように
走った。