白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「十環っち、おまえってセンスいいな」


 恋兄に褒められて
 「ありがとうございます」と
 穏やかに微笑む十環先輩。


 そうだった……


 十環先輩の好みの女の子って
 守ってあげたくなる
 かわいい女の子だった……



 頼れるのはこの人しかいない。

 龍兄!! 助けて!!


 さっきと同じウルウルな瞳を作り
 龍兄に助けを求めたのに。


「十環が選ぶと
 恋の作った服が一番桃に似合いそうって
 思えてくるから不思議だよな」


 龍兄! 

 なんだその、意味不明な解釈!

 十環先輩のことが
 どれだけ好きなんだよ!


 でもまだ、虎兄が残っている。


 ロリータとナース服。

 どちらか着ないと殺されるとしたら
 絶対にナース服。

 目つきが鋭いナースに
 なってやろうじゃん。

 そう思ったのに。


「ま、十環が選んだことだし
 今日は恋兄に譲ってやるか」


 虎兄!

 そこ、譲らんでいいから!!!!


 私の目の前で
 兄弟3人と十環先輩で芽生えた結束感。


 そんなこんなで私は今日
 100%似合わない
 フリフリラブリー服を着て
 お店に立つことになってしまいました。


 中学の時のヤンキー仲間というか
 下僕たちが
 今日も多分、お店に来るのにな……


 私のメンツ……

 完全に潰れるだろうな……

< 19 / 209 >

この作品をシェア

pagetop