白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
 
「桃ちゃん、お味噌汁どうぞ」


「あ……ありがとうございます。
 って
 なんで私の家にいるんですか?」


「昨日はさ、親父と十環と3人で
 TODOMEKIに顔を出したんだよな。

 遅くなったから
 俺の部屋に泊まればいいって、親父が」


 龍兄の言葉を聞いて
 お父さんの方を見ると、
 いつも仏頂面なのに
 なぜかお父さんが穏やかに笑っている。


 怖い。 
 これこそ怖いから。


 十環先輩がいると
 お母さんだけじゃなく
 お父さんまで優しくなっちゃうってこと?


 どんな魔法を使っているんだ
 十環先輩は?
 なんて思っていると、
 今度はお母さんがニコニコ顔で
 しゃべりだした。


「十環くんは今日、
 お店のお手伝いをしてくれるのよね?」


「はい」


「そうなの? 十環先輩?」


「うん、お手伝いするよ。
 だって今日は
 お店でホワイトデーイベントをするから
 人手が欲しいって
 美穂さんに頼まれて」


 お母さんのことを
 美穂さんって呼ぶなんて。


 どれだけこの家に溶け込んでいるんだ。
 十環先輩は。

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