白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 恋兄がニヤニヤしながら
 私の肩に手を置いてきた。


「桃、いいの?
 十環っちと結婚したら
『桃瀬 桃華』になっちゃうよ」


「け……結婚なんて……」


 結婚なんて、気が早すぎだよ。
 昨日付き合ったばっかりなのに。


 恋兄が発した『結婚』という言葉が
 頭の中をグルグルまわって
 私の顔がだんだん熱を帯び始めた。


「桃ちゃんが『桃瀬 桃華』になるのが
 嫌だったら
 俺が『百目 十環』になってもいいよ」


 目をキラキラさせながら微笑んだ
 十環先輩が
 とんでもないことを言ったせいで、
 家族たちはウキウキモード全開で
 話し出した。


「いいじゃん、十環っち」


「お前が婿に入ったら
 TODOMEKIにいた頃みたいに
 毎日組手ができるしな」


「十環なら
 一緒に暮らしてやってもいいけど」


「龍牙さんたちが
 お兄さんになってくれたら
 毎日が楽しいだろうな」


「いいわね。
 もう十環くん、
 すぐにでもうちの子になっちゃいなさい。

 十環くんが桃の旦那さんに
 なってくれたら
 お店を手伝ってもらって
 がっぽり稼いじゃうんだから」


 お母さん。
 金儲けの道具にしないでよ。
 十環先輩を。


「十環、桃のことを頼むな」


「はい」


 お父さんまで……


 私なんてまだ高1で、
 結婚なんて全然考えられないけど。


 でもそうなったらいいな。


 十環先輩の隣に一生いる相手が
 私だったらいいな。

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