白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「さ、早く朝ごはんを
いただいちゃいましょう。
今日はホワイトデーイベントで
お客さんがガンガン
詰めかけてきてくれると思うから。
忙しくなるわよ~」
お母さんがパンパンと手を叩くと
恋兄が、みんな分のご飯を
よそってくれた。
「え? 私のご飯は?」
「桃のはこれ」
「え? お弁当?」
「桃、蓋を開けてみて」
恋兄に勧められて
お弁当箱の蓋をあけた。
え?
水色のご飯の上に、
色とりどりの金平糖が
ちりばめられている。
その上に、海苔をカットした文字が。
『結婚式には
ロリータドレスね』
なんじゃ、これ!と思い
恋兄を睨む。
「俺が作ってあげるから
楽しみにしていてね」
恋兄の言葉に
「そんなの着るか!!」
と怒鳴ってしまった。
「桃ちゃん、どうしたの?」
「なんでもないです」
絶対に十環先輩には見られたくなくて
急いでお弁当箱の蓋を閉めた。
「お弁当箱に
何か入っていたの?
見せて」
「嫌です。
絶対に十環先輩には見せられません」
私はお弁当箱を抱きかかえ
十環先輩はしつこく
『見せてよ~』とせがんでくる。
そんな私たちを見て、恋兄は
ニヤニヤしながら私の耳元で囁いた。
「桃、良かったね」
恋兄の優しい声にハッとして
顔をあげる。
妹想いの優しいお兄ちゃんて顔で
恋兄が微笑んでいた。
そんな恋兄に向かって
私は素直に頷いた。