白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「桃ちゃ~ん」


「え? 六花?」


 ムササビ六花が
 勢いよく私の胸に飛び込んできた。


「ちょっと。
 なんで六花が、私の家にいるの?」


「いっくんも一緒だよ」


「え? 一颯先輩も?」


 お店の入り口を見ると
 十環先輩と楽しそうに話す一颯先輩が。


「聞いたよ、桃ちゃん。
 十環先輩と付き合うことに
 なったんでしょ?

 昨日ね、十環先輩が
 いっくんに報告をしてくれて。
 その時にね
 お店のお手伝いをしてってお願いされて」


「お店の……手伝い??」


「そう。
 人手が足りないから
 私たちにお願いできないって、
 桃ちゃんのお母さんに
 お願いされたんだって」


 お母さん。

 一颯先輩と六花が美男美女って知って
 稼ぐために呼び寄せたな。


「ごめんね。
 こんな遠くまで」


「いいの。いいの。
 桃ちゃんのお家にいつか行きたいって
 思っていたから。
 誘ってくれた十環先輩に感謝だよ」


 なんていい子なんだ、六花は。


 一颯先輩が
 六花のことが大好きで
 しかたがない理由がわかるよ。


「それに
 聞きたくてしょうがなかったから。
 十環先輩と桃ちゃんが
 どうやって付き合うことになったか」


「り……りっか」


「もう、顔が真っ赤になった桃ちゃんも
 可愛すぎ!
 お仕事が終わるまで我慢するから。
 その後に、ちゃんと教えてね」


「……わかったよ」


 ニヤニヤしっぱなしの六花。
 
 私をいじる六花もかわいいなって、
 改めて気づいた瞬間だった。
 
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