白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「それにしても、すごい店だな。
呉服屋って聞いていたからさ
てっきり着物しか売っていないって
思たんだけど」
一颯が驚くのも無理はない。
着物売り場はお店の半分。
あとは、忍者、ロリータ、コスプレ
そしてヤンキーグッズ。
お客さんがお店に入ってきたら
もっとビックリすると思うけど。
「まあね。
百目家の趣味が詰まったお店だからね」
「そういえば十環、
ちゃんとご利益あっただろ?」
「え?」
「だから、俺が十環に渡したお守り。
桃ちゃんと付き合えたのは
俺があげたお守りのおかげだろ?」
「お守りって?」
「お前が俺の家に来たときに渡したじゃん。
俺の手作りの」
「あ~。あのお守りね。
お守りの存在、今まで忘れていたよ。
多分、一颯にもらって
バックに入れたまま……」
「十環~~!
王子みたいな綺麗な顔して
お前って本当にひでえな」
「一颯は悪魔みたいなきつい顔して
実は優しいよね」
「俺のこと、悪魔みたいってなんだよ」
「見た目、そのまま言っただけじゃん」
「十環~~」
「一颯は好きでしょ?
俺にいじられるの?」
「……
まぁ。嫌いじゃないけど」
素直に言葉にできないけど。
桃ちゃんと付き合えるようになったのは
一颯のおかげでもあるよ。
天邪鬼な俺の性格上
素直に言えなくて、一颯、ごめんね。
そんな風に
心の中で一颯に謝っていると
お店の隅でしゃがみ込んでいる
ウサギを発見。