白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 トイくんから離れた
 りっちゃんと一颯のところに
 今度は何かを企んでいるのがバレバレな
 恋都さんが近づいてきた。


「りっちゃん、一颯っち、初めまして。
 桃華の兄の恋都です」


「一颯っちって……」


「あ、芸術的なお弁当を作る
 お兄さんですよね?
 お昼休みに桃ちゃんのお弁当を見るのが
 私の楽しみなんです」


「じゃあ今度
 りっちゃんの分も作ってあげようか?」


「……」


「もう、りっちゃんは。
 嘘がつけないんだから。

 そうそう
 りっちゃんに願いがあってさ。
 今日のお店番の時にね
 この服を着てくれない?」


 あ~。 
 恋都さん。

 りっちゃんにまでロリータの
 フリフリワンピを着せようとしているし。


「これは……ちょっと」


「残念だな。
 このワンピね
 白と赤の色違いで2着あるんだ。
 りっちゃんと桃で着てくれたらなぁ」


「桃ちゃんとおそろいってことですか?」


「そう。
 サイズ的にも
 りっちゃんが白で、桃が赤。

 二人でこのワンピを着てさ
 並んで写真を撮ろうよ」


「桃ちゃんと……

 おそろいなら……」


 恋都さんの話術に
 流されそうになっているりっちゃんに
 一颯が喝!。


「六花! 
 そこは断るところだろ!」


「だってこれを着たら……
 いっくんは言ってくれるでしょ……

 『かわいい』って……」


「言うけどさ……
 絶対に六花に似合うと思うから
 そりゃ『かわいい』って
 言っちゃうけどさ……」


 そこですかさず、恋都さんが。


「一颯っちも
 このワンピを着ているりっちゃんを
 見たくない?」


「そりゃ、見たいか見たくないかって
 言われたら……
 見たい……かも……」


 あ~。一颯の奴。

 恋都さんのスマイルマジックに
 まんまと引っかかっているし。


 これは助けに行くべきか?
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