白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


 10時になり
 お店がオープンした。


 相変わらず百目家の周りには、
 それぞれのファンが囲んでいる。


 真っ白い清楚なお姫様の
 りっちゃんの隣には
 寄ってくる男どもを蹴散らすように
 紫色の着物を色っぽく着こなす
 一颯が仁王立ちしている。


 桃ちゃんは、どこかな?っと。


 やっぱり、あそこにいた。


 ヤンキーが好きそうなものを
 そろえたコーナーの前に、
 真っ赤なラブリーワンピを着た
 桃ちゃんがいて、
 ヤンキー集団に囲まれていた。


 ……なんかムカつく。


 桃ちゃんが
 俺以外に心を許したような笑顔を
 向けているのが
 どうしようもなくムカつく。


 俺はそのヤンキー集団の中に
 ズカズカトと入り
 がしっと桃ちゃんの腕をつかんだ。


「え?」


「みんなごめんね。
 桃ちゃんのこと
 ちょっと借りていくね」


 一応、王子スマイルを作ってみたけど
 ちゃんと笑えていたかな。

 
 そして、モヤモヤした気持ちのまま
 桃ちゃんを店の奥まで連れてきた。

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