白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「十環先輩、どうしたんですか?」


 桃ちゃん、ごめん。

 桃ちゃんは何も悪くないけど……

 俺が勝手に
 嫉妬しちゃっただけだけど……


 今すぐにでも
 桃ちゃんをイジメたくてしょうがない。


 リンゴのような
 真っ赤なワンピース姿のお姫様が
 心配そうな瞳で見つめてきた瞬間
 悪魔モードに突入した俺。


「桃ちゃんって、俺のこと好き?」


「す……好きですけど……」


 うつむきながら照れている桃ちゃん。

 かわいくてしたかがない。


「じゃあさ、桃ちゃんから俺に
 キスをしてくれる?」


「え? 
 そ……それは……
 ムリです」


 桃ちゃんの
 このおどおどした感じ。


 いつも強がっているのに
 こんな風に困っている顔を見ちゃうと
 もっと桃ちゃんのことを
 イジメたくなっちゃうんだよね。


「桃ちゃんからキスをしてくれないと、
 俺、もう桃ちゃんの傍に
 いてあげないよ」


「それって……
 別れるってことですか?」


「うん」


「それは……嫌です」


 潤んだ瞳で床をじっと見つめ
 俺の着物の袖を
 ギュッと引っ張る桃ちゃん。


 う~。
 かわいすぎる。


 さっきまで
 中学の時のお仲間さんに囲まれて
 女王様みたいに
 上から目線だった桃ちゃんが。


 今、俺の目の前で
 オドオドしながら弱っている。


 この姿、
 たまらなくキュンキュン
 させられちゃうんだけど。


 その時、桃ちゃんが顔をあげ
 潤んだ瞳で俺を見つめてきた。


 やばい。


 そんな透き通った瞳で見つめられたら
 抱きしめたくなっちゃうじゃん。

 今すぐ、桃ちゃんのこと。
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