白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「桃~」
お店から聞こえてきた美穂さんの声に
二人でハッとなり、唇を離した。
「ごめんね。桃ちゃん。
いきなりこんなところに
連れて来ちゃって」
「いえ……
強引な十環先輩も……
カッコよかったですから」
桃ちゃん
今の褒め言葉はダメだよ。
ああ~。
桃ちゃんのことを今すぐ抱きしめて
できれば誰も俺たちを邪魔しない所に
連れ出したいって思っちゃうじゃん。
今ここで抱きしめたら
自分の気持ちを抑えられなくなりそうで
俺は桃ちゃんの頭を優しく撫でた。
「桃ちゃん、お店に戻ろうか」
「あ……十環先輩。
1つだけお願いを
聞いてもらえませんか?」
「何?」
「やっぱりスルメ色が良いです。
十環先輩の、髪の色」
再び、頬に赤みが広がった桃ちゃん。
だから
そんな潤んだ瞳でお願いされたら
断れないからね。
早速、スルメを持って、
礼音さんの美容院に行かなきゃな。
「スルメ色ね。了解」
俺の返事を聞いて、
安心したように眩しい笑顔を
見せてくれた桃ちゃん。
写真に残しておきたかったなと
後悔するくらい
かわいくてしかたがない笑顔だった。