白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「龍牙さんの家のお店って
呉服屋って聞いていたような」
「ああ。そうだけど」
「それにしては
お客さんの格好が……」
十環先輩。
言葉が続かないほど
びっくりしているみたい。
そりゃそうだよね。
開店30分前にもかかわらず
お店の前には40人くらいのお客さん。
しかも、着物姿の人は6人だけ。
初めて我が家に来て
この状況にハテナマークの
十環先輩に向け、口を開いた虎兄。
「ま、呉服屋だから、着物姿のマダムが
いてもおかしくないよな。
あのマダムたち、親父目当てだから」
あんな無口で不愛想な男
どこがいいんだろう?と
いつも思っちゃうけど。
お父さんファンも意外と多い。
「で、この店にはさ
俺たちの趣味の物も一緒に売ってんの」
「だから
忍者服を着た人たちもいるわけね。
忍者LOVEの龍牙さんらしい」
十環先輩はそう言いながら
うんうんと納得しているし。
十環先輩が受け入れてくれたのが
嬉しかったのか
今度は龍兄が口を開いた。
「十環がさっき見た通り。
恋はロリータ服に命かけててさ。
服作って、ここで売ってんの。」
「だから
フリフリのレースみたいな服を着た
女の子たちも
お店の前にいるんですね?
でもあそこに集まっている
いろんな格好をした女の子たちは?
警察官とか、お医者さんとか
キャビンアテンダントとか」
十環の問いかけに
ちょっと恥ずかしそうに
ひょこりと右手を挙げた虎兄。
「俺……だけど」