白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
十環先輩、今なんて??
俺と……付き合ったら????
私を見つめて
ニコッと微笑んだ十環先輩。
私の頬が
一気に紅色に染まっていくのがわかる。
え? どういうこと?
私と付き合ってくれるってこと?
明らかに動揺している私の横で
口をつぼめた龍兄が
不機嫌そうな声を出した。
「十環、変なこと言うなよ。
桃は誰にも渡さないからな」
「龍牙さん
そんなにいじけないでくださいよ。
冗談ですから。
桃ちゃんが大好きな龍牙さんの前で
そんなこと言ったら
龍牙さんはどんな反応するのかなって
思ったら、面白くなっちゃって、つい」
十環先輩…………
いくら私の気持ちに
気付いていないからって
あなたは悪魔ですか?
私でも傷つくんですから。
私の彼氏になってくれるの?
と期待させておいて
冗談だって言われたら…………
落ち込んでしまった私の顔を
誰にも見られたくなくて
リビングから出て行こうとしたとき
十環先輩の弾んだ声が耳に届いた。
「あの子たちは
桃ちゃんファンでしょ?」
「私のファンなんていないですよ」
そう言って窓の外を見た時
背中にガッツリ和柄の刺繍が入った
スカジャン姿の集団が目に入った。
私のファンというよりは
中学で番長をしていた頃の
下僕たちだけど。
あいつら
開店前のこんな早くに来るなよな。
っていうか
うちの店に毎週毎週来なくていいのに。
「あの人たちは……」
なんて説明をしたらいいかわからない。
私のファンではないって
否定をしたいけど。
『私の下僕』だなんて言えないし。
言葉を選びきれずに悩んでいると
この空気を一変させる救世主が
リビングのドアを開け
この部屋に現れた。