白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

「桃、ちょっと来て」



 恋兄!

 グッドタイミング!!


 私をこのタイミングで
 連れ出してくれるとは
 たまにはいい仕事するじゃん。


「恋兄、今行く。
 で、行くってどこに?」


「もう、桃。
 早くしないと間に合わないよ」


「え?」


 恋兄はニコッとして
 ヘアアイロンを私の目の前に突き出した。


「俺が作った服を着るからには
 メイクも髪型も
 俺好みに仕上げるから。
 いいよね? 桃」


 よ……よ……よくありません!!!!


 龍兄、虎兄、十環先輩!

 誰でもいいから
 魔女のように不気味な笑みを浮かべる
 この恋兄から
 私を助け出して!!! 


 そんな私の思いなんて
 気づこうともしない龍兄と虎兄は
 好き放題言い始めちゃったし。


「桃がどんな感じになるか楽しみだな」


「ま、
 いつものダサダサなスエットよりは
 マシになるんじゃない?」


「虎はわかってないなぁ。
 あの緩い感じのスエット姿が
 かわいいだろ」


「龍兄は、どんだけ桃が好きなんだよ」



 そして一番まともだと思っていた
 十環先輩までもが……


「桃ちゃんが着替えたら
 写真撮らせてもらえる?

 ニコッと笑ってね。
 一颯とりっちゃんにも、見せたいし」


 見せるな!!!


 六花は私の過去を知っているから
 まだいいとしても
 それ以外の人に
 私の恥ずかしい写真を見せるな!!


「桃ちゃん、いってらっしゃい」


 王子様がお姫様に優しく微笑むように
 キラキラの笑顔を私に向けた十環先輩。


 あまりのカッコよさに
 胸がドキュンと射抜かれ
 一気に体の力が抜けた。


 そんなフニャフニャ状態の私の腕を
 恋兄にがしっとつかまれ、
 ロリータ一色の部屋まで連行された。
 
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