白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
全身鏡に映る自分と目が合った。
ん? 誰?
誰って、私だよね?
本当?
今鏡に映っているのって、本当に私??
あまりの変わりように
鏡が幻覚を映しているんじゃないかって
思ってしまう。
自分で言うのは
おこがましいっていうのは
100も承知だけど……
悪くない……
少し吊り上がっている私の鋭い瞳は
アイラインとつけまつ毛は
ちょっぴりたれ目に。
うすピンクのチーク。
口元にはチェリーピンクのグロスが
のせられている。
髪型なんて
普段の私には考えられない
耳上のゆるふわツインテール。
「桃! 可愛すぎ!!
俺が作った服を
こんな完璧に着こなせるの
桃ぐらいだよ。
童話に出てくる
お姫様みたいで感動なんだけど」
恋兄…………
童話に出てくるお姫様みたいなんて
言いすぎだから…………
でも
ほんのちょっぴり嬉しかった。
十環先輩の好きな
守ってあげたくなる女の子に
少しだけ近づけた気がして。
「桃、良かったね」
「え?」
良かったって、何のことだろう?
「だって
十環っちの好きなタイプっぽく
なったじゃん」
「へ?」
「またまた
俺に隠してもムダだからね。
桃、十環っちのこと
好きなんでしょ?」
「えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
予想外の恋兄の言葉に
お店の外で待っているお客さんにも
丸聞こえくらい
大声を張り上げてしまった。