白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 恋兄の指示通りに動けば
 十環先輩と付き合えちゃうってこと?


 もう完全に
 十環先輩の彼女になんてなれないって
 諦めていたのに。

 恋兄の言葉を聞いて
 心がうずき始めてしまった。


 そんなかすかな期待を
 膨らましちゃったけど。

 自分の手の甲をつねって
 現実に引き戻す。


 ダメダメ! 


 絶対に
 十環先輩が私なんかを選ぶなんてことは
 ありえないもん。


 それなら
 まだ引き返せる今のうちに
 十環先輩を諦めたほうがいいに
 決まっているもん。


 でも……


 十環先輩の
 丸ごと包み込んでくれるような
 温かい笑顔を思い出すと
 つい思ってしまう。


 本当は諦めたくないなって。


 その時1階から
 怒鳴るようなお母さんの声が
 聞こえてきた。
< 28 / 209 >

この作品をシェア

pagetop