白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「恋! 桃!
もうすぐ開店だからね。
早く降りてらっしゃい」
「わかったよ」
そう答えながら
部屋を出ようとした恋兄。
急に振り返り
目をまん丸くさせて私を見た。
「桃?」
「ひゃ!」
私、何をやっているんだろう。
恋兄の洋服の裾を
いきなりつかんじゃうなんて。
恥ずかしすぎる行動に
その場にしゃがみ込んでしまった。
そして俯きながら
自分の奥の奥に潜んでいた言葉を
必死に紡いでみた。
「恋兄に…… 頼ってみようかな?」
その言葉に反応して
いきなり私の両肩に手を置いた恋兄。
ビックリして見上げると
太陽みたいに眩しい笑顔が
目の前にあった。
「よく言えました。
お兄ちゃんに任せなさい!」
恋兄の笑顔に
なぜかキュンと胸が飛び跳ねた。
初めて思った。
恋兄って
よく見るとカッコいいんだなって。
でも恥ずかしすぎて
素直に笑い返すことなんて
できなかった。