白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


 あまりにビックリしすぎて
 数段戻る。


 そして
 十環先輩から見えないところまで戻って
 階段の壁にへばりついた。


 恋兄!!

 協力するってこういうこと??


 十環先輩が階段下にいるならいるって
 先に言っておいてよ!!


 どうしよう。 
 恥ずかしすぎる。

 
 恋兄は
 こんなフリフリラブリーな私を
 かわいいって言ってくれたけど
 十環先輩はなんて思うか怖いもん。


 壁に体を預けしゃがみ込むと
 階段を上ってくる足音が聞こえだした。


「桃ちゃん」


 その声に
 きつくつぶっていた瞳を
 ゆっくり開けてみる。


 見上げると
 そこには目がなくなるほど
 穏やかに微笑む十環先輩がいた。


「見ないでください!!」


「え? なんで?」


「なんでって……恥ずかしいから」


「俺、今日はラッキーかも」


 ラッキー?


 十環先輩の言葉の意味が分からず
 固まってしまう。


 そんな私にとびきりの笑顔を向けて
 十環先輩が甘い声を発した。
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