白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


「桃華さん、な、な、何ですか! 
 その萌え姫ファションは……」


「恋兄に無理やり着せられた。
 着せ替え人形の扱いされたし。
 十環先輩も同罪ですからね」


 アハハと声を出して笑った十環先輩に
 初めて気づいたトイプー。


「え? あ……全然気づかなかった。
 こちらは?」
 

「あ、龍兄のTODOMEKI仲間の十環先輩。
 虎兄と同じ高3」


「こんにちは」


 十環先輩が微笑みかけたのに
 なぜか浮かない顔のトイプー。

 
 そんなトイプーとは対照的に
 ニコニコ笑顔の十環先輩。


「桃ちゃん、写真だけ撮らせて。
 りっちゃんにも見せてあげたいしね」


 は~。

 一颯先輩と六花に見られるくらいなら
 ま、いっか。


「十環先輩。
 二人に見せたら
 すぐに消去してくださいね」


「わかってるよ」


「トイプーも写真……一緒に入って」


 一人で写真に写るより
 ウサギ姿のトイプーが
 一緒に写ってくれたほうが
 まだましだ。


 十環先輩の前で
 ヤンキー言葉なんて使えず
 トイプーにお願いする形に
 なってしまった。


「桃華さんが…… 桃華さんが……」


 いつも私にいじられまくっているのに
 今日は優しいからって
 トイプー、
 そこ、泣くとこじゃないから。


「もうトイプー!
 腕を絡めてこないでよ!」


「だって今日の桃華さん
 普段の1億倍かわいくて……」


 かかと落としでも
 食らわせようかと思った。 
 
 トイプーの頭上に。


 でも、十環先輩の前で
 そんな悪魔みたいな真似はできない。

 普段なら
 なんの躊躇もなくしちゃうけど。


 どうせ普段の私は
 今の一億倍ブサイクですよ。


 そんなことを思いながら
 十環先輩の向けるスマホに向かって
 必死に笑顔を作ってみた。


 その時
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