白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

　オープンしてすぐに
　お客さんがお目当ての店員さんを
　囲み始めた。


　忍者の集団、コスプレ集団と
　囲んでいるお客さんを見るだけで
　その中心に誰がいるのかが
　すぐにわかる。


　初めてお店に立つ俺の周りにも
　いろんな格好の女性たちが囲みだした。


「あれ？　初めて見る顔ね」

「入ったばかりのバイトさん？」


「今日だけ、お手伝いです」


　得意の作り笑いを浮かべて答えるたびに
　いろんな質問が飛んでくる。


　それに答えながら
　すごく気になっている
　ツインテールのお姫様に視線をずらした。


　その姫が目に飛び込んで来た瞬間
　笑いが込み上げてきた。


　桃ちゃん
　童話に出てくるお姫様みたいな
　恰好をしているのに
　ヤンキー集団に取り囲まれているし。


　その桃ちゃんの隣には
　ウサギの着ぐるみを着せられ
　顔しか出ていないのに
　なぜかずっごく似合っている
　トイくんがいる。


　今、このお店でしか
　見ることができない貴重な光景。


　どんな話をしているのかが気になって
　ちょっとずつ、ちょっとずつ
　桃ちゃんの方に近づいてみる。


　その時、桃ちゃんファンの
　ヤンキー中高校生の声が耳に届いた。