白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「桃華さん、やばいです」
「今日の桃華さん、可愛すぎですから」
「もしかして、俺たちへの
バレンタインプレゼントですか?」
桃ちゃんは明らかに不機嫌そうなお顔で
ファンの子たちを睨みつけている。
「は?
なんでお前らなんかに
私がプレゼントなんてあげなきゃ
いけねえんだよ。
こっちがもらいたいくらいなのに」
桃ちゃんって
あの集団の中に入ると
ヤンキーっぽい話し方に
なっちゃうんだね。
「桃華さん、ご褒美が欲しいんですか?」
「あげます、あげます。
俺、桃華さんの頭、撫でてあげます」
「沢木、なんで上から目線なんだよ。
汚い手で人の頭をさわんじゃねえよ」
桃ちゃん、Sだな。
ドSっぷりが半端ないな。
「俺、ご褒美もっていますよ。
はい、スルメ。
桃華さん好きっすよね?」
「スルメ好きなんて
一言も言ったことないし。
誰だよ、デマ広めた奴。
私の誕生日なんて
プレゼントがスルメだらけだったし」
「だって。
桃華さんが歯を鍛えたいって
虎太郎さんが言ってましたよ」
「はぁ?」
「桃華さんが噛みつき攻撃を
強化したいからって
虎太郎さんが言ってたっす。
だから俺たち
スルメが良いんじゃない?ってことに
なったんですけど」
「虎兄め……」
恨み殺しちゃうくらいに
炎が燃えたぎる瞳で
遠くの虎くんを睨みつけている桃ちゃん。
お姫様とは正反対の表情に
つい、クスッと
声を出して笑ってしまった。