白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
契約成立

☆桃華side☆

「桃ちゃん、この親子丼おいしいよ」


 なぜか今
 私の作った親子丼を笑顔で頬ばる
 十環先輩が
 目の前に座っている。


 親子丼を作り終えるまでは
『絶対に美味しい親子丼を作ってみせる』
 って息巻いていたから
 気にならなかったけど。

 ダイニングに二人だけのこの空間。
 居心地が悪い。


 だって
 何を話せばいいかわからない。


『天気は晴れですね?』とか?
『龍兄はアホですよね?』とか?


 違うでしょ。
 もっと、楽しい話題とかあるでしょ。
 考えろ! 考えろ!


 無言で親子丼を頬張るこの空気に
 耐え切れなくなって
 私は思いついたままに言葉にした。
< 51 / 209 >

この作品をシェア

pagetop