白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「やっと本性出しましたね。十環先輩」
「本性?」
「悪魔っぽいところです」
「俺のこと、悪魔なんていう女の子は
一人もいないよ」
「十環先輩が
王子スマイルばっかり作って
いるからですよね?」
「桃ちゃんは、王子と悪魔
どっちが好き?」
どっちかなんて
贅沢すぎて選べない。
なんでも包み込んでくれそうなほど
優しい、王子スマイル。
十環先輩が隠してきたドSが
ちらりと顔を出す、悪魔スマイル。
どっちの十環先輩も好きだけど……
「どちらかと言えば……悪魔……かな?」
驚いたのか目を見開いた十環先輩。
「そんなこと言う女の子
桃ちゃんだけだろうな。
でも……嬉しいよ」
いや~
その笑顔は反則ですよ。
童話に出てくる王子様よりも
キラキラした笑顔を向けられたら
止まんなくなっちゃうから。
十環先輩を好きって想いが。
今の王子スマイル、最高です!って
言いたかったけど、言わないことにした。
だって、悪魔スマイルの方が良いって
私が言った時の笑顔が
最高に素敵だったから。
それなのに。
数秒前には
とびきりの笑顔を見せてくれたのに。
なぜかいきなり
暗い表情に変わった十環先輩。
どうしちゃったんだろう?