白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
仮の彼女 始動
 
 月曜日。 

 いつもと変わらない学校生活が
 スタートした感じだったのに……


「桃ちゃん、お昼食べよ」


 目をぱっちり開けて
 ムササビみたいに手を広げて
 ニコニコ笑顔で私のところに
 飛んできてくれたのは
 親友の六花(りっか)。


 私よりも20センチくらい背が低くて
 腕なんて折れそうなくらい華奢で。
 
 守ってあげたくなっちゃうくらい
 かわいいくてしかたがない。


 十環先輩の親友で
 六花と血のつながってない兄の
 一颯(いぶき)先輩と
 最近付き合い始めた幸せ者。


 そんな六花が
 私にだけ聞こえるような小さな声で
 聞いてきた。


「桃ちゃん、どうだった?」


「どうって、なんのことだっけ……」


「金曜日に
 十環先輩に手作りキャラメルを渡すって
 言っていたでしょ。
 それで? 
 告白できたの?」


 透き通った真ん丸お目めが
 心配そうに私を見つめている。


「告白は……できなかった」


「そっかぁ。 
 告白なんて勇気がいること
 簡単にできないよね」


 私の心を癒すかのような
 穏やかな表情の六花に
 隠し事をするなんて罰が当たりそう。


 正直に言わなきゃな。


「六花……実はね……
 仮の彼女になったの。十環先輩の」


「へぇ~ 仮の彼女ね~」


 穏やかに微笑み頷きながら
 おうむ返しをした六花。


 突然
 『ん?』と漏らした声とともに
 首を傾げた。


 そしていきなり
 「&%$#&%$#&%$#!」

 言葉になっているような
 なっていないような
 意味不明な声を上げだした。
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