白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「ごめん、俺。
言っていいことと悪いことの
区別がつかない子って、嫌いだから」
ファンの子たちの前では
いつもニコニコで
怒るなんて考えられないくらい
穏やかな十環先輩。
それなのに
鋭い目つきで言い放った言葉に
女子たちが凍り付いた。
「……ごめんなさい」
「俺の方こそごめんね。
ちょっと、きつい言い方に
なっちゃったよね。
でも今は、桃ちゃんの彼だから
桃ちゃんと一緒にいたいんだ。
みんな、ごめんね」
いつも通り
穏やかに微笑んだ十環先輩に
ホッとしたけど。
『桃ちゃんと一緒にいたい』
という言葉に
胸が猛スピードで高鳴りだした。
十環先輩ファンの子たちは
諦めるように教室から出て行った。
「りっちゃんも一緒に
お昼食べに行こうよ」
十環先輩の言葉に
「え? 私はいいよ。
読み終えたい小説があるから」
六花はそういうと
私に目がなくなるくらい
とびきりの笑顔を向けてくれた。
まるで私に『頑張ってね』って
言ってくれているかのように。