白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
「私が通うはずだった中学
廃校になっちゃったんです。
それで中学入学の時に
隣の中学と合併して」
「それは知ってるよ。
その中学が、ヤンキーだらけの
荒れた中学だったんでしょ」
「はい。
合併しても、ヤンキーたちが
学校で暴れまくっていて。
普通に学校に通っているだけの生徒にも
ケンカを吹っ掛けるように
なっちったから。
『ヤンキーたちを黙らせるしかない』
って虎兄と話して
それでやりあったんです」
「龍牙さん
あの時すっごく心配していたよ。
中学生のケンカに
TODOMEKIの総長が出ていったら
族同士の抗争に発展しちゃうからって
俺に助っ人を頼みに来てさ」
「十環先輩が助っ人に来てくれなかったら
今頃はヤンキー達の
言いなりの中学になっていたかも。
あの時は、ありがとうございました」
「そんな、お礼なんていいよ。
俺、たいしたことしてないよ。
虎くんと桃ちゃんの神がかったケンカに
感動しちゃったし。
ここまでは
だいたい龍牙さんから聞いていたから
知っているよ。
それで、なんで番長になったの?」
「相手中学のヤンキー達が
そのケンカの後から
虎兄を慕うようになって。
なぜか年下の私にまで
『姉さん』って言うようになって。
虎兄がいた時は良かったんです
番長は虎兄だったんで。
でも虎兄が卒業して
番長を引き継ぐのは姉さんしかいない
ってみんなから言われて。
結局中2の私が番長になりました。
『姉さん』って呼ばれるのは
鳥肌が立つくらい嫌だったから
今は年上も下も『桃華さん』って
呼んでくれますけどね」
私の言葉が途切れると
十環先輩の口が止まった。
きっと、呆れているんだろうな。
十環先輩の好きなタイプの女性と
違いすぎて
がっかりしているんだろうな。
怖くて十環先輩の顔を見られない。
そんな中
言いにくそうにぼそりと声を発した
十環先輩。