白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
 ☆十環side☆


 今の俺
 絶対に耳まで真っ赤になっているはず。

 
 自分でもわかる。

 好きな人に告白したときに似た
 ドキドキに襲われている。


 つい本音をこぼしてしまった。

「俺にも……
 そういう桃ちゃんを見せて欲しい……」
 って。


 そんなことを口走っちゃっただけでも
 恥ずかしいのに。
 桃ちゃんの綺麗な瞳が
 俺をじっと見つめていたから。

 視線を外したくても
 なぜか桃ちゃんの瞳を
 見つめていたいなって思っちゃったから。


 見つめれば見つめるほど
 桃ちゃんの瞳に吸い込まれ
 手で隠そうとしても隠しきれないほど
 顔が赤くなってしまった。


 そんな俺の耳に届いた
 桃ちゃんの震えを含んだ声。


「そんなに私の女王様姿を見たいなら……
 やってあげても……いいですけど……」


 ふと桃ちゃんとみると
 俺の顔の熱が
 今よりも更に上がった。


 桃ちゃん。
 この表情は反則だな。


 いつもキリっとした瞳で
 堂々としているのに。
 今は恥ずかしさを隠すように
 視線を外してうつむいてモジモジして。


 恥ずかしがっているのが
 バレたくないのか
 口をギュッと結んで
 強がっている桃ちゃんを
 『かわいいな』と
 素直に思ってしまった。


 やばい。 

 強がっている人を見ると
 もっとイジメたくなる。

 もっともっと『恥ずかしい』って
 思わせたくなってしまう。


 俺の心の奥に隠れていた悪魔が
 『待っていました』とばかりに
 飛び出してきた。


 桃ちゃん、ごめんね。

 こうなったら俺
 自分でも止められないからね。


 心の中で桃ちゃんに謝って、
 王子スマイルを桃ちゃんに向けた。

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