白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


「と……と……十環先輩??!!」


 桃ちゃんが俺の腕の中でもがいている。


 そんな初々しい
 桃ちゃんの反応がかわいくて
 もっと強く抱きしめていたいと
 思ったのに。


 桃ちゃんに両手で突き飛ばされた。


「いきなり……そういうの……
 やめてください」


「せっかく勇気を出して
 あんな辛い唐揚げを食べたのに。
 仮の彼女なら
 ご褒美くらいくれるでしょ?」


 これはさっきのお返し。


 女王様が乗り移ったように
 俺に辛い唐揚げを食べさせようとした
 桃ちゃんへの、ドS返し。


 俺の期待を裏切らない
 桃ちゃんの恥じらう姿に嬉しくなる。


「いきなり抱き着かれたら……」


「じゃあ、これならいいよね?」


 俺は桃ちゃんの前に
 左手を差し出した。


「これって……」


「二人だけの時なら
 つないでくれるんでしょ?」


 桃ちゃんが
 じっと床を見つめること約30秒。

 ようやく聞きたかった答えが
 俺の耳に届いた。


「手を……つなぐくらいなら……
 いいですけど……」
< 74 / 209 >

この作品をシェア

pagetop