白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)

 なんで? なんで?

 なんでこの家に十環先輩が?



 もしかして、私
 幻覚を見ている?


 昨日
 告白しようと思って撃沈したから
 全く違う人まで
 十環先輩に見えちゃうとか?




 明らかに挙動不審の私の耳に
 大好きな甘い声が届いた。



「もう、桃ちゃん。
 朝からそんな怖い顔しないの。
 はい。 お味噌汁」



 龍兄の紫エプロンを身に着け
 満面の笑みで
 お味噌汁を手渡してくれた十環先輩。



 その笑顔に吸い込まれるように
 つい、見とれてしまった。


「あ……ありがとう……ございます」



 かっこいい。


 十環先輩、エプロン姿。
 反則級にかっこいいし。



 違う違う! 

 そんな呑気な事を
 考えている場合じゃない。


 なんで十環先輩が、この家に??


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