同じ空の下~想い描いた2人の夢~
走り込みからキャッチボール、素振り等々。

体幹を鍛えるストレッチまで、数時間練習に明け暮れた。

ほとんど毎日お兄ちゃんと一緒に練習メニューをこなしているため、体力もだいぶついてきて、今では1試合余裕で投げきれるようになった。

もちろん投げるだけじゃないけど。フルで、自分の席、確保出来るまでになっていた。

打率向上、盗塁も出来るようにと、日々お兄ちゃんの指導のもと、必死に練習した。

おかげで今はU―18の指定強化選手となったのだけど、学校ではあえてそれを公にしていない。

知ってるのは春馬先輩だけで、春馬先輩も周りに言わないでいてくれている。

なので、私はマネージャーとして、春馬先輩の側に居ることが出来ている。

変わらず優しい先輩は私のこと、大事にしてくれてるし。


それから数日たったある日、

甲子園に向けて、皆は力を入れて練習していた。

そんな練習中のこと、

大きく振りかぶった春馬先輩はボールを投げれず、地面にボールを落とした。そして、そのまま倒れ込むようにしてうずくまった。

すぐさま駆けつける私、先生…

皆も心配そうに見守る。

「うっ…っ…」先輩からはかなり苦しそうな声が漏れた。

中断された練習の視線の先には苦しむ春馬先輩がいる。

「どした?痛むのか?」と先生は聞き、頷く春馬先輩。

「とりあえず、保健室!」と先生は言うと春馬先輩を支えて、保健室へと連れていった。

「大丈夫かよ…こんな時期に…」とか言う声も飛ぶ。

心配なのはわかるけど、それって先輩のせいで試合間に合うのかよ?って言ってるみたいで、私は何だか複雑な気持ちになった。

「あの~もし、先輩が重症だったら、どうなるんですか?」って後輩マネージャーが聞いてしまう。

「あ?そんなの決まってるだろ!棄権だよ!最後の大会だってのに、こんな時に、やらかしてくれるぜ!」と主将が言い出す。

何それ。じゃあ春馬先輩の心配はしてないってこと?

自分だけが良かったらそれでいいの?

きっと1番苦しいの、春馬先輩だよ?誰よりも努力してきたんだから…

それにエースとして、きっと責任背負ってきたはず!痛むの無理して頑張ってきたのかもしれないなのに…

なんでそんな言い方されるの?

私は納得いかない!

でも、そんな事言える勇気なんてどこにも無い…

「…エースとして、チームの為にケガしても苦しい顔せず頑張ってきたんッスよ!

そんな副主将に限界が来たってのに何なんすか!その言い方…最後の大会は先輩だけじゃないんすよ!副主将だって最後の大会なんすよ!誰よりも出たかったに決まってるじゃないッスか!なんでそんな言い方しか出来ないッスか!」と1年の部員がキレてくれた。

彼は1年で春馬先輩を目指して頑張ってきたピッチャーだ。

私は頷いた。彼にもし何かあれば守ろうと決めて。
< 4 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop