花火

今日も目覚ましの音で
目覚める、

また朝がきてしまった。

朝起きて最初に
毎日そう思っていた。

自分の意志や気持ちとは関係なく過ぎていく時間に
置いてけぼりにされていた。

置いてけぼりの私を
みんなの記憶から
消してほしいと
何度も思った。

周囲の環境や
日常にさえ
もうほっといてほしいと
思っていた。

少しでいいから
休みたかった。


逃げ出したくて
だけど現在に戻る時のことを考えると怖くて
何もできないままだった。


だけど今日は少し違う。

藤がいる。

また藤と話せる。

理由はわからないけど
それだけで少しでも
日常に追いつこうという気持ちになれた。

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