花火
いつもと同じ時間に
家を出て
駅まで歩く
いつもと同じ電車に乗って
いつもと同じ駅で
朱美‐アケミ‐が乗ってきた
「香‐カオリ‐おはようっ」
『おはよう
なんかいいことあったの?』
「えぇっ!?
なんでわかったの~??」
『いつもより
変な顔してる』
「変な顔って~」
『あはっ
ごめん。ごめん。
からかっただけ。
で、何があったの?』
「えへへ~
拓ちゃんがね~……」
いつものように
朱美のノロケを聞き流す。
因みに拓ちゃんっていうのは
朱美の彼氏の佐藤 拓斗くん。
朱美は毎朝拓斗くんの話を幸せそうに話す。
彼氏のいたことのない私は
ただなんとなく聞いているだけ。
喧嘩した次の日は
これでもかってくらい
目を腫らして来たりするけど
ほとんど毎日幸せそうに笑ってノロケている。
毎日泣いたり笑ったり
朱美は見ていて本当に飽きない。
朱美のこんなふうに素直に感情を表に出せるところが
私は羨ましい。