【実話】2014〜あの頃〜
学期始めの試験も終わって、気づけば学園祭一色だった。




うちの学校は中1と中2が合唱で、中3は演劇って決まっていたから、



うちのクラスはアンジェラ・アキの「手紙」を歌った。




15歳の自分と大人になった時の自分、いろんな気持ちが込められた曲で



私はその時歌いながら、今松井を好きって思ってる気持ちとか、そういうのって大人になったらもう忘れちゃうのかな?


なんて考えたりしてた。





合唱の練習は中1の時よりも時間が増やされて結構きつかった。



朝練だけじゃなくて、放課後に部活の時間を減らしてまでする練習。




部活を楽しみにしている子たちはその時間が苦痛で文句を言ってる子が多かった。




もちろん松井やかりん、たくみたちも例外ではなかった。




「まじ早く帰りてえ」


「こんな練習する必要あるの?だるくない?」


なんて飛び交う声。



帰宅部の私はなんて言っていいのか分からなくて、ちょっとした疎外感を感じたりもしたんだ。




この頃になっても、夏休みの頃からの松井との電話は続いていた。



毎日、ってほどじゃないけど、週に3回くらいは2人で何時間も話していた。





その2人だけが共有している時間が私は本当に好きで、何にも代えられない大事な時間だった。




その電話で正直に私が、

「みんな部活頑張ってて練習だるいって言ってる時に、申し訳なくなる」


って言ったのに対して松井が


「いやそんなこと気にしなくていいよ!

朝苦手な岡田がちゃんと起きて練習参加してるの見て俺も文句言ってられんな、って思ったし!」


なんて言ってくれて嬉しかったんだ。




電話しながら、中1とかもっと小学校の時の話とかして、昔の写真送りあったりして



なんか私だけが知ってる松井が増えていく気がして本当に楽しかったんだよね。
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