【実話】2014〜あの頃〜
そんなある日の放課後の練習が終わる時に、


隣で歌っていたクラスメイトのそれなりによく話す女の子に、


「ねえゆうこちゃん〜、喉乾いたからウォーターサーバーに一緒に行こうよ〜」


なんて誘われた。



ウォーターサーバーとは、その名の通り、浄水が飲める機械なのだが、



なんとそれが学校に2つしかなくてめちゃくちゃ教室から離れた場所になかったのだ。




「ええーっ、めっちゃ遠いしやだよ〜」



なんて言って流したんだけど、その子は1人で行きたくなかったみたいで


「いいじゃんー!!お願い!」


なんて何回もしつこく言ってきて、



挙げ句の果てには手首までつかまれて、連行されそうになっていた。





もういいや、どうせ部活もないし我慢しよ、、なんて思っているところに、






急にもう片方の手首もつかまれた。





いきなりのことすぎてびっくりしながら、振り向くと




そこには松井がいた。





「岡田とちょっと話したいことあるから、申し訳ないけど離してやってくんね?」






そう言われるとさすがのその子も諦めて離してくれた。







そのまま手首をつかまれたまま、松井に引っ張られて廊下まで出ると、




「なーんて、実は何にも話すこととかなかったけど笑」




ってお茶目な顔して笑ってみせた。








ほんとにそういうとこだよ、ズルすぎるよ。





けどそんな風に思ってることを見透かされないように必死に隠して



「ありがとね!ほんと助かった、、」



って言ったんだ。




そしたら松井がね、





「まあ岡田がもしまた困ってる時は、俺が気づいて助けにいくから!



なんか岡田って狙いやすそうだし、不審者とかに遭いそうじゃん?」



「ええっなにそれ!?そんなのやだよー」



「でも俺が助けるからいいの。


不審者に遭ってるとこに俺が登場して、助けるってなんかヒーローっぽくね?」



「ヒーローって笑 なにそれ〜」






なんて笑ってたけど、



内心ほんとに嬉しくてずっとドキドキしてたし、




ほんとに私のヒーローになってくれたらいいのに。



なんて本気で思っちゃったりしたんだよ。
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