素直になりたい!
「運動会に文化祭……。懐かしいな……」

楓が目を細めると、翔太が優しい目をして言った。

「楓はいつも、みんなより行事の準備とか頑張ってたよね」

「えっ?そうかな?」

「うん。一人で押し付けられた仕事全部こなしてさ。でも、誰にも「手伝って」とか言わないし。だから、倒れちゃわないから心配だった」

「そっか……」

アルバムには、頑張って仕事をする楓が何枚も写っている。自分で立候補したものもあれば、人から押し付けられた仕事もある。人から押し付けられたものの方が多いかもしれない。

いつの間にか、人に頼ったり甘えたりすることができない人になっていた。それはきっと、弟や妹がいたためしっかりしないといけないという気持ちが強かったせいかもしれない。

「楓。ここ、隈になってる」

アルバムを見ていた楓は、翔太に目の下をそっと撫でられる。翔太に触れられるなんて、保育園以来かもしれない。楓はまた顔を赤くした。
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