素直になりたい！

本当は、楓も寂しさを感じていた。幼なじみーーー好きな人と一緒に仕事ができた。ずっと話せていなかった分を取り戻したと思ったのに、もう仕事が終わってしまったのだから。でも、「私も寂しい」と言えない。

「う〜ん……。担当さんに小説渡すまで時間あるし、どこかご飯でも食べに行く？」

グッと体を伸ばしながら翔太が訊ねる。楓は首を横に振った。

「いや、インフルエンザとか流行っているし私が何か作るよ。翔太はインフルエンザにかかりやすかったじゃん」

「いや、それは中学生までね。今はそこまで貧弱じゃないんだけど」

そう言う翔太を置いて、楓はキッチンに立つ。冷蔵庫には食材がたくさん入っているので何を作ろうか少し悩んだが、ハンバーグを作ることにした。早速玉ねぎをみじん切りにして炒め始める。

「俺も手伝うよ」

翔太がそう言ったので、楓は「疲れてるでしょ？翔太は休んでて」と笑う。すると、翔太は手を洗ってエプロンをつけ始めた。