素直になりたい！
とても嬉しくて、楓はポツリと呟く。その時に翔太の耳が赤く染まっていたことには、気が付かなかった。



皿洗いを終えた後、楓は翔太とまた部屋に戻った。翔太に「これ読んでほしいんだ」と一冊の本を渡される。

「これは？」

「世界にたった一冊しかない本だよ」

タイトルには「今、伝えたいこと」と書かれている。表紙には何も絵などは描かれておらず、真っ白で少し寂しい表紙だ。楓はページをめくった。


僕には、好きな人がいる。ずっと昔から一緒にいる大切な人。ショートカットがよく似合っていて、小さい頃はオレンジのハートの髪飾りがお気に入りだった。

その人はとても頑張り屋さん。勉強も、運動も頑張っていい成績を取っている。でも周りは結果しか褒めない。彼女がどれだけ努力してきたかを知らず、羨ましがる。

どんなに周りが嫌がるようなことも、彼女は積極的に取り組む。だから彼女は仕事を押し付けられることもある。それでも、笑顔で仕事をするんだ。
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