王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました


 ザックとケネスは、別荘を拠点としながら、ザックの軟禁期間にケネスが知り合った人物たちと会った。
まずは隣国のネオロスとの間の話をつける。
彼らの主張は、ネオロスに毒を持ち込んだ首謀者を暴き、罪人としてネオロスに差し出せというもので、それが飲めなければ開戦も考えているようだ。

ザックは、毒物輸出の実行者であるウィストン伯爵はすでに死亡していること。裏で動いている首謀者を捕まえた暁にはそちらの要望を飲むということで話を付けた。
これで、すぐに開戦ということにはならない。

それから、王都に戻るまでの計画を練る。
しばらくは行方不明ということにして、内密に平民や下級貴族の支持者を増やすべきという考えはザックもケネスも一致していたが。

「……平民とのつながりはやはり弱いな」

「そうだね。君を推して……という声はあれど、まとまるというところまではいかないよね」

バーナード侯爵派閥の伯爵家はこのあたりに多く土地を持っているが、平民が掲げている主はやはり土地を治めるべき領主だ。その領主が支持する王族ということでザックへのあたりは柔らかいが、どうしてもザックを押し上げるという熱意はない。

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