王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
ナサニエルが口にする悔恨を、ザックはただ黙って受け止める。
「私はバイロンが可愛かった。あの子を次期王にしたかった。そのために、マデリンや侯爵を処罰することができなかったんだ」
母親やその親族が罪を犯せば、第一王子の立場は危うくなる。
「そのために政治は荒れた。義兄上の暴挙を止められなかった。そして私は自分の身勝手さに呆れ、お前に手を伸ばすこともできなかった。気が付けば国は荒れ、私は愚王になっていたのだ。どこかで変えなければいけないと考えたときに、頼れるのはお前しかいなかった。……すまない、アイザック。愛してやれもせず、そして今また責任を押し付けようとしている」
「なにを」
ぱしゃん、と音がした。なにかが落ちたような水音に、ザックの意識はそちらに向かう。
「ロザリー! いるのか?」
「……やっぱり、そうです! こっちから声がします!」
小さな声だがたしかに聞こえた。
ザックはナサニエルと顔を見合わせ、頷くと勢いよく走り出した。
川のすぐそばに出ると、先の方にロザリーとカイラが見えた。
なぜかロザリーは片足を川に突っ込んでいる。
「ロザリー、どうした?」
「な、なんでザック様がいるんですか? 私のこと、分かるのですか?」
なにを聞かれているのかさっぱりわからないが、転びそうになりながらも駆け寄ってその小さな体を確かめる
「私はバイロンが可愛かった。あの子を次期王にしたかった。そのために、マデリンや侯爵を処罰することができなかったんだ」
母親やその親族が罪を犯せば、第一王子の立場は危うくなる。
「そのために政治は荒れた。義兄上の暴挙を止められなかった。そして私は自分の身勝手さに呆れ、お前に手を伸ばすこともできなかった。気が付けば国は荒れ、私は愚王になっていたのだ。どこかで変えなければいけないと考えたときに、頼れるのはお前しかいなかった。……すまない、アイザック。愛してやれもせず、そして今また責任を押し付けようとしている」
「なにを」
ぱしゃん、と音がした。なにかが落ちたような水音に、ザックの意識はそちらに向かう。
「ロザリー! いるのか?」
「……やっぱり、そうです! こっちから声がします!」
小さな声だがたしかに聞こえた。
ザックはナサニエルと顔を見合わせ、頷くと勢いよく走り出した。
川のすぐそばに出ると、先の方にロザリーとカイラが見えた。
なぜかロザリーは片足を川に突っ込んでいる。
「ロザリー、どうした?」
「な、なんでザック様がいるんですか? 私のこと、分かるのですか?」
なにを聞かれているのかさっぱりわからないが、転びそうになりながらも駆け寄ってその小さな体を確かめる