王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
*
「我々は話し合いの場が欲しいだけだ。貴族議会との交渉を行いたい。王家を代表し、コンラッドにも同席してほしい」
ザックの声が響き渡り、応援するように付き従った平民兵の歓声が上がる。
門をこじ開け、雪崩のように押し入った平民兵は、手当たり次第に戦いを挑みそうなほど興奮していた。
ザックはそれを抑えるべく、いち早く目的を明言する。
同時に、「交渉が決裂するまでは手を出さないように」と言い含めておく。
政治的な要求をするときに、自らの陣営が犯罪まがいのことをしては誰もついてなどこない。
警備兵たちが集まり、ザックたちを取り囲む。だが、すぐに近衛兵たちが集まり、ザックたちを守るような配備についた。
「近衛兵、こいつらが侵入者だぞ?」
「近衛兵団は、第二王子アイザック様を支持します」
警備兵と近衛兵のにらみ合いが始まる。
やがて議場から貴族議員が、階段からはコンラッドとアンスバッハ侯爵が降りてくる。
「義兄上、生きていたんですね」
なぜか顔色の悪いコンラッドは、荒い息を吐きだしながらつぶやいた。
彼をかばうように、アンスバッハ侯爵は前に立つ。
「……平民が寄り集まって何の騒ぎですかな」
「交渉に来たんですよ。アンスバッハ侯爵」
「これはアイザック殿下……いや、今は伯爵でしたな。行方不明と聞いておりましたが、ご無事でなによりです。しかし、こんな平民を率いて反乱ごっこなどされては困りますな。平和な地に争いをもたらすのが、元王族の望みなのですか?」
「我々は話し合いの場が欲しいだけだ。貴族議会との交渉を行いたい。王家を代表し、コンラッドにも同席してほしい」
ザックの声が響き渡り、応援するように付き従った平民兵の歓声が上がる。
門をこじ開け、雪崩のように押し入った平民兵は、手当たり次第に戦いを挑みそうなほど興奮していた。
ザックはそれを抑えるべく、いち早く目的を明言する。
同時に、「交渉が決裂するまでは手を出さないように」と言い含めておく。
政治的な要求をするときに、自らの陣営が犯罪まがいのことをしては誰もついてなどこない。
警備兵たちが集まり、ザックたちを取り囲む。だが、すぐに近衛兵たちが集まり、ザックたちを守るような配備についた。
「近衛兵、こいつらが侵入者だぞ?」
「近衛兵団は、第二王子アイザック様を支持します」
警備兵と近衛兵のにらみ合いが始まる。
やがて議場から貴族議員が、階段からはコンラッドとアンスバッハ侯爵が降りてくる。
「義兄上、生きていたんですね」
なぜか顔色の悪いコンラッドは、荒い息を吐きだしながらつぶやいた。
彼をかばうように、アンスバッハ侯爵は前に立つ。
「……平民が寄り集まって何の騒ぎですかな」
「交渉に来たんですよ。アンスバッハ侯爵」
「これはアイザック殿下……いや、今は伯爵でしたな。行方不明と聞いておりましたが、ご無事でなによりです。しかし、こんな平民を率いて反乱ごっこなどされては困りますな。平和な地に争いをもたらすのが、元王族の望みなのですか?」