王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
それから一週間。
王都は徐々に平和を取り戻しつつある。
議会改革は、貴族院と平民院の二院制を採用すること決まり、現在は仕組み作りに伴う調査が行われている。
改革には膨大な資料とそれをまとめ上げる人材が必要である。
アイザックは兄のベッド傍に座り、新しく採用する議員制度について、他国から取り寄せた資料などに目を通し、必要か否かの選別をしている。
奥にある書き物机にはコンラッドがいて、バイロンはザックがより分けた資料にチェックを入れている。
今後は兄弟三人で執務を手伝うようにと国王に言われそれを実行し始めた三人である。
バイロンが、まだ長時間起きていられないので、彼の部屋に集まるのが日常化してきている。
「……兄上が継げばよろしいでしょうに」
アイザックは思い出したように不満を漏らす。彼は今でも、次期王には兄の方がふさわしいと思っているのだ。
バイロンはまたか、というように目を眇め、書類の続きに目を向ける。
「医者によれば、私は完全な健康体には戻れないそうだよ。短命の可能性のある次期王よりは、健康体のお前の方がいいだろう。それに、私がいつまでも王位継承権を持っていると、伯父上を支持していた貴族たちが変な動きをするきっかけとなってしまう」
「しかし、俺は自分で言うのもなんですが短慮ですからね」
「そこは否定しないが……。そのためにお前のブレーンになってやろうと言っているんだ。なに、お前にはケネスもいる。表に立った時だけちゃんとしていろ」
「はあ……」