王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
「まあいい。それより、お前とロザリンド嬢はどうするんだ。相思相愛なわけだし、婚約くらいはしておけばいいのでは?」
「俺もそうしたいんですけどね。父上も母上もその前に準備があると言って譲らないのです。どうも、ロザリーをバーナード侯爵かイートン伯爵のどちらかと養子縁組させてからと思っているようでして。ルイス男爵との調整やら……いろいろ考えると一年は先ですね」
「はは。ご愁傷様」
「兄上、ひどくないですか?」
「お前も少し苦労すればいい」
王子の婚約など一朝一夕で決められるものではない。アイザックは落ち込んでいるが、一年ならば早いほうだろう。何よりも、男爵令嬢程度ではダメだと反対されているわけではない。十分幸せ者だと言える。
軽口を言い合うふたりを見て、コンラッドも思わず笑う。
「兄上たちは、思っていたより仲が良いんですね」
アイザックとバイロンは顔を見合わせ、笑いあう。
「最近だよ、なぁ、アイザック」
「ええ。親の関係に縛られるのはやめたんだ。だから、お前とも仲良くしていきたいと思っている。コンラッド」
それは意外、というようにコンラッドは苦笑する。
「俺は、父上や兄上に許されたことが、まだ信じられません」
コンラッドは目を伏せ、戸惑うように目を伏せた。
「……おまえはまだ未成年だ。そこも考慮されたのだろう。それに、生かしておいて争いの火種になるというのならば、手元に置いておいた方がいいと踏んだのだろう。何せ、後を継ぐのはアイザックだ」
「俺だとなんでそうなるんですか」