王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
見守るケイティは涙目で、隣には肩に薔薇を大きくあしらい、反対側の肩を露出した扇情的なドレスのクロエがいる。

「似合うわね。さすが私の妹よ」

「クロエさんたら。血のつながりはないじゃないですか」

「いいでしょ。ほら、お母様だって喜んでいるわ。念願の娘の嫁入りですもの」

「可愛いわ、ロザリー。ああもう本当に可愛い!」

養子だというのにこんなに喜んでもらえるなんて、ありがたい限りである。

「泣かないでくださいな。お義母様」

ロザリーがケイティの涙をハンカチで拭いていると、ノックの音がした。

「オードリーです。入ってもよろしいですか?」

「どうぞ! 入ってください」

促すと、水色のドレスを着たクリスとベージュの落ち着いたドレス姿のオードリーが入ってくる。
クリスはブーケを手に持っていた。

「はい、ロザリーちゃん。お花」

「ありがとう、クリスさん」

「クリス、これからはちゃんなんて呼んじゃ駄目よ。ロザリンド様って呼ばないと」

「ふたりきりのときはいいんですよ」

「駄目です。うっかり出るんだから」

オードリーが母の顔を見せる。
オードリーは今、学術院で臨時講師として働いている。レイモンドも城の料理人と活躍しており、クリスも学校に通い始め、たくさんの友達ができた。
それぞれに王都に基盤ができたため、レイモンドはアイビーヒルに帰るタイミングを見失っているらしい。

「ロザリーちゃんはお姫様になっちゃうんだね? クリス、もう遊べないかな」

「クリスさんはずっと私のお友達ですよ。でもなかなか会えなくなるかもしれません。寂しくなったら、お手紙を書きますね。クリスさんこそ、私のこと忘れないでくださいね」

「うん!」
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