王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
カイラが身に着けている白檀の香木に負けそうになりながらも、たしかに存在するザックの香り。
ぬくもりも相まって、目をつぶると本当にザックがそこにいるような気になる。
カイラはロザリーの背中を撫でながら、楽しそうに笑った。
「ふふ、やるわね。母親をダシに使おうだなんて」
「……すみません」
揶揄されたのは恥ずかしかったが、ザックのにおいはロザリーを予想以上に安心させた。
うっすら目尻に浮かんだ涙をこっそりふき取り、笑う。
「ありがとうございました、カイラ様。これで私、いくらでもまた頑張れます!」
「いいえ。私こそ、元気をもらったわ。なにもできないと思っていたけど、自分が役に立つこともあるんだって分かって、嬉しい」
「カイラ様」
「あなたが来てから、私の人生にもう一度色がついたみたい。本当にありがとう。ロザリーさん」
そこまで言ってもらえるとロザリーとしても僥倖である。
「ああそうだわ。あなたにひとつお願いがあるの」
「なんですか?」
「アイザックにね、差し入れをしてもいいか聞いてみたら、中身の確認はするけれど問題はないと言われたの。あなたの方が、あの子の好みも分かるでしょう? なにか、甘いものでも見繕ってあげてくれないかしら」
「は……はいっ」
ザックが好きな食べ物といえば、レイモンドの料理だ。ロザリーは早速依頼の手紙を書き、それをクロエに託した。
ぬくもりも相まって、目をつぶると本当にザックがそこにいるような気になる。
カイラはロザリーの背中を撫でながら、楽しそうに笑った。
「ふふ、やるわね。母親をダシに使おうだなんて」
「……すみません」
揶揄されたのは恥ずかしかったが、ザックのにおいはロザリーを予想以上に安心させた。
うっすら目尻に浮かんだ涙をこっそりふき取り、笑う。
「ありがとうございました、カイラ様。これで私、いくらでもまた頑張れます!」
「いいえ。私こそ、元気をもらったわ。なにもできないと思っていたけど、自分が役に立つこともあるんだって分かって、嬉しい」
「カイラ様」
「あなたが来てから、私の人生にもう一度色がついたみたい。本当にありがとう。ロザリーさん」
そこまで言ってもらえるとロザリーとしても僥倖である。
「ああそうだわ。あなたにひとつお願いがあるの」
「なんですか?」
「アイザックにね、差し入れをしてもいいか聞いてみたら、中身の確認はするけれど問題はないと言われたの。あなたの方が、あの子の好みも分かるでしょう? なにか、甘いものでも見繕ってあげてくれないかしら」
「は……はいっ」
ザックが好きな食べ物といえば、レイモンドの料理だ。ロザリーは早速依頼の手紙を書き、それをクロエに託した。