王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
「内容まで確認しているのは警備兵だろうな。あとひとりは、おそらくオードリー殿が囚われている場所にいる人物だろう。封筒だけについているのは仲介者のにおいだろうな。召使あたりか」
「そうですね。おそらく」
ロザリーが嗅いだことのないにおいは三人分。もしこのにおいの人物に出会ったとき、すぐに分かるようににおいをよく覚えておく。
「ありがとう、ロザリー。ところで、君たちには変わりはないかい?」
「はい! 侍女さんたちに嫌味を言われても、クロエさんが助けてくれるので大丈夫です」
「へぇ。すごいじゃないか、クロエ」
ケネスに褒められるのはまんざらでもないのか、クロエは少し頬を染めて、ぷいとそっぽを向く。
「ロザリーがあまりに言われっぱなしになっているからよ。それに、助けたわけじゃないわ。私は事実を言っているだけだもの」
「そうか。でもロザリーが助かっているなら、やはりクロエのお手柄だろう」
「そうですよ! クロエさんがいてくれるだけですっごく安心します!」
二人がかりで褒められ、クロエは耳まで赤い。でも、それを表に見せないところがまた可愛い。
ロザリーの胸がほっこりと温かくなる。
「ところで、実はしばらく顔を出せなくなるんだ」
ケネスのその一言に、クロエの表情がふっと陰る。