王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
問われたクロエは飄々としている。
「お父様、誤解なさらないで。結婚ではなく婚約の打診でしょう? コンラッド様はまだ学生ですもの。学術院を卒業されるまでは、結婚などしませんと明言してあります」
「一体誰とそんな話をしたのだ! 娘の結婚だぞ? 私を通すのが筋だろう」
「お父様を通したら、私に話が来る前に断られるとあちらには分かっていたのでしょう。この婚約には、条件があるんです」
クロエはぴしりと言うと、全員に近くに寄るように手招きした。
「先日、カイラ様がお使いになる化粧品を取りに備品庫に向かったとき、マデリン様の侍女に呼び出されました。向かった先には、マデリン様とアンスバッハ侯爵様がいましたわ。そこで、このお話を伝えられました。まずは私の意向を確認したい、と言われて。その時はお断りしましたが、交換条件を出されて考えなおしたのです」
「交換条件?」
「はい。……あちらは、私とアイザック様が恋愛関係にあると思っていらっしゃるようです。アイザック様の御命と秤にかけられました。私がコンラッド様との婚約を了承するならば、バイロン様の死は不慮の事故の結果とし、アイザック様を解放すると。ただ、アイザック様にはその際、王位継承権を放棄していただくということです」
「アイザック殿は犯人ではない。そんなものに屈しなくとも、いずれは無実が解明されるはずだ。お前が犠牲になる必要などないのだ、クロエ!」
「本当に、無実が証明されるとお思いですか?」
クロエは、呆れたように父親を見つめる。
「お父様、誤解なさらないで。結婚ではなく婚約の打診でしょう? コンラッド様はまだ学生ですもの。学術院を卒業されるまでは、結婚などしませんと明言してあります」
「一体誰とそんな話をしたのだ! 娘の結婚だぞ? 私を通すのが筋だろう」
「お父様を通したら、私に話が来る前に断られるとあちらには分かっていたのでしょう。この婚約には、条件があるんです」
クロエはぴしりと言うと、全員に近くに寄るように手招きした。
「先日、カイラ様がお使いになる化粧品を取りに備品庫に向かったとき、マデリン様の侍女に呼び出されました。向かった先には、マデリン様とアンスバッハ侯爵様がいましたわ。そこで、このお話を伝えられました。まずは私の意向を確認したい、と言われて。その時はお断りしましたが、交換条件を出されて考えなおしたのです」
「交換条件?」
「はい。……あちらは、私とアイザック様が恋愛関係にあると思っていらっしゃるようです。アイザック様の御命と秤にかけられました。私がコンラッド様との婚約を了承するならば、バイロン様の死は不慮の事故の結果とし、アイザック様を解放すると。ただ、アイザック様にはその際、王位継承権を放棄していただくということです」
「アイザック殿は犯人ではない。そんなものに屈しなくとも、いずれは無実が解明されるはずだ。お前が犠牲になる必要などないのだ、クロエ!」
「本当に、無実が証明されるとお思いですか?」
クロエは、呆れたように父親を見つめる。